2017年8月12日土曜日
菜根譚
「菜根譚」を読みたくて、図書館で借りたのが、「菜根譚からはじまる、つながらない関係-世間に染まらず、世間を生き抜く」という、小池龍之介さんが書かれた本です。浄土真宗系の単立寺院の住職さんです。38歳というから、若いなあ。それで、処世術の本を書くんだから、大したものだなあ、と感心をいたしました。
それで感想と思うのですが、「特になし」。昨日の緻密に情報を集める渡部悦和さんとは対照的に、あまり本を読まないようにしている人です。「何も残らなくなるまでに、すべての思想や観念を手放す」(p187)ことを目指しておられ、「心というものは、空そのもので、何からも影響を受けず、澄んでいる」ものだから、「私がいない」、ただ心だけになればいい、ということですね(p184)。
私は、罪ばかりの自分を知って、キリストを信じたわけだから、「自分」とか、「自分の心」とかは、そんなにきれいだとは思っていない。人間観、自己認識が随分と真逆だなあ、と思いました。仏教は、みんな善人だという前提だけれど、うまく悟って生きていける環境が与えられればいいけれど、ほんとうは罪人だらけだから、現実との矛盾を埋めるのが大変そう…。
理想だけで生きていけたらいいなあ…と、少し感心しつつも、「罪人の私にはとっても無理!」と思いました。でも、お坊さんが書いた菜根譚の本で、菜根譚の本文をかなり自由に訳し変えているので、次は、菜根譚そのものを読もうかな、と思います。まあ、普通に考えて行けば、思いつきそうな思想だけれど、逆も考えられるので、突っ込みどころ満載です。まあ、これもありかな。
2017年8月11日金曜日
米中戦争
「米中戦争-そのとき日本は」を読みました。渡部悦和(よしかず)さんは、元陸上自衛隊東部方面総監で、現在ハーバード大学アジアセンターで、日米中の安全保障関係を研究しています。この本は、日米戦争が起きた時のシュミレーションをしたもので、その時に備え、日本が電磁レールガンなどの開発を加速させ、中国のミサイルによる飽和攻撃に備えるように提言しています。
日本の現状、アメリカの現状、中国の現状を良く知っておられ、研究に研究を重ねておられるので、これから起きることの参考になります。中国軍は急成長しつつあり、やがてアメリカ軍をしのぐようになって、日本を含めたアジア地方は、中国の支配下に入る可能性が、とても高いのです。特に、サイバー戦、宇宙戦では、すでにアメリカの上を行っています。
今現在も、日本に住む私たちの頭上では、中国の軍事衛星が、いつでも日本に攻撃を仕掛けられるようになっています。そして、中国がずっと言って来たことは、日本こそが敵国であって、滅ぼさなければならない国であることです。ただ、アメリカと同盟を築いており、今は、アメリカの力が中国を総合的に凌ぐので、米中戦争の時を待っています。アメリカは、先制攻撃はしません。
ただし、この本が出されたのは、昨年の秋でした。その後、「中国の台頭を歓迎する」と公言していたオバマ大統領に代わり、その路線の継承者であるヒラリーさんではなく、トランプさんが大統領になったために、この本の予測は大きく外れて、アメリカは強くなりつつあります。中国も、米中戦争、日本侵略が、容易ではない事態となってしまいました。野望が砕かれました。
けれども、アメリカの親中派はトランプおろしに必死で、CNNなどのメディアが偽ニュースを流してイメージダウンを狙っています。現安倍政権も朝日新聞を中心に、偽ニュースを流して、必死に倒閣運動をしています。たぶん、トランプ政権は潰されず、安倍政権も安泰だと思いますが、油断はできません。この本が分析する、台湾有事、南沙諸島有事は、備えておく必要があります。
しかし、今年初めから始まった、北朝鮮の原爆実験、ミサイル発射の新展開は、朝鮮有事のシナリオの方が先行する勢いです。今年中の朝鮮有事と言われていたものが、今月にも空爆が始まりそうな勢いです。そうなりますと、倒れた北朝鮮の政権を、アメリカが中国に任せる可能性もあります。南北統一でなく、北が中国、南が米国と二分されるかもしれません。
いずれにせよ、中国の主張する第一列島線、第二列島線の線上に、日本があるのですから、米中戦争の戦場は日本になる、ということです。p27の図は、日本を盾に縦断する列島線を、筆者が加筆したもので、日本の置かれた立場がよくわかります。つまり、この米中戦争に巻き込まれるしかないのです。軍事費が中国の五分の一ぐらいしかない日本は、戦いようがありません。
中国の兵士は、反日教育が行き届いていて、「日本人を捕虜にした場合、殺せますか」という問いに、半数以上の兵士が、「殺せます」と答えていると聞きます。南京大虐殺の報復として、東京大虐殺をしてやる、という声も聞きます。降伏すれば無事だというのは、ありえない話です。日本は戦争によって征服はされないで、交渉によるのだと言いますが、虐殺は逃れられません。
神なき国に侵略されるよりは、神さまを信じ、人権と自由を重んじる、アメリカと協力したほうがいいと思います。そのためにも、日本も軍備を整えて、侵略を防ぐべきだと思うのですが、憲法九条を信奉する人々は、抵抗すべきではない、アメリカとの安保条約を廃棄せよ、と言います。自分が虐殺されてもかまいませんが、家族や子どもたちがかわいそうです。
そんなことも思いながら、ちょっと専門的な、また、半年遅れだったなあ、と思われる本を読みました。ほんとうの平和は、武力で侵略してくる相手に、武力をもって拮抗することだ、というのはその通りだと思います。強盗に襲われて、両手を挙げて、妻も子どもも殺してくださいでは、人間としてどうよ、と思うのです。ちょっと、シュミレーションしてみませんか。
2017年8月10日木曜日
天才
石原慎太郎の「天才」を読みました。田中角栄が語り口調で自らの人生を振り返る「独白」の形で書かれていて、とても読みやすかった。田中角栄というと、お金をばらまくような金権政治を作った、悪の権化のようなイメージがあるけれど、「政治は結局お金だ」という考えが生まれて来るプロセスがわかる…やっぱり、面倒見がいい人を、他の政治家も信頼するよね。
でも、やっぱり日中国交正常化なんて、台湾を裏切るような真似をして、アメリカと対等になろうなんて、誤算だよなあ。周恩来は、その時から、日本人皆殺しを考えたっていう人もいるし、田中さん、調子に乗りすぎたなあ。相手は、数千万の自国民を虐殺しても意に介しない、腹黒い人間たちだって、わからなかったんだろうか。なんか、おめでたいな、って思いました。
ロッキード事件は、そんなアメリカを出し抜こうとした田中さんへの報復だったって、思いますね。小説にあるように、全く身に覚えのないことだったと思うし、全く身に覚えのないことがピンチにつながることは、私も経験してよく知ってます。それが腹黒い策略…愛国者田中さんは、お金ですべてを解決しようとしたけれど、腹黒い人間のことはわからなかった。
悲しいのは、秘書であり愛人であった佐藤昭の娘、敦子さんのリストカット、飛び降り自殺未遂…プライバシーにまで踏み込んでも、田中おろしを画策するメディアを前に、さすがの田中さんも、総理をやめる決意をします。正妻の奥さんの娘、真紀子さんともうまく行かない。家庭内はめちゃくちゃです。その中でも、子どもたちを守ろうとした田中さんは、偉いなあ。
確かに、田中さんは、テレビというメディアを造った人、高速道路や新幹線で日本をつなげようとした人。各県に一つの飛行場を提案した人。この国のエネルギー資源のために、原子力を推進した人、って評価はあるけれど、田中角栄によって、日本の高度成長は終わったんだよね。石原さんは、田中さんのような人物の再来を求めているけれど、違うと思うなあ。
日本の歴史の中で、一番優れた総理はだれかと言われれば、まだ就任中だけれど、安倍晋三だよね。保守派からすれば、リベラルすぎて物足りないって思うだろうけれど、一番バランスが取れている。お金をばらまいても、この日本はまとまらないよ。日中国交回復なんて、仲良くする相手を間違えていない? 天才と言われても、方法が間違っているなって気がしますねえ。
そういうわけで、もっと天才なのは安倍晋三…けれども、この日本は、この国難に、安倍晋三に勝る天才を必要としている、って思いました。アメリカ軍の北朝鮮の爆撃が、今月中に始まるかもしれないって時に、田中角栄の再来じゃ無理でしょ。誰が危険がわかっていない。今の総理には、危機管理能力が極度に求められているんですよね。
2017年8月9日水曜日
憲法改正の真実
「憲法改正の真実」を読みました。私は、「憲法をもっと良くして」と思っているので、護憲派の人からすれば改憲派と呼ばれます。そんな立ち位置じゃなく、「無謬の聖書とは違うんだから、人間が書いたものだから、改善の余地はあるでしょ」ぐらいなのですが、憲法を無謬の書物と考えている人々からは、許し難い改憲派になるわけです。それで、護憲派の本を読もうと…。
でも、「国民怒りの声」(怒り新党)を立ち上げた小林節さんらしく、初めから憎しみ、怒りの感情があらわで、読むのがほんとうに辛い。学者というのは、こんなに感情だけで話すものかな、と気分を鎮めつつ、何とか最後まで読み切りました。教会にも、護憲派のクリスチャンがいるけれど、ほんとうに怒りや憎しみばかりで、事実関係をきちん話せないのが、よくわかりました。
結論は、最後に書いてあったけれど、「安倍、なめんなよ!」の一語でしょう。いろいろと安倍政治を批判するのですが、「でも、それはちょっと事実とは違うんじゃないか…」と突っ込みを入れたくなります。「改憲マニア」と自民党を罵倒して、「憲法は権力を縛るものだ、国民の命を守るなんて、憲法の意味も知らない」と学者風をふかしますが、国民の命を守らない憲法なんて、変えなきゃいけないよ、と思ってしまいます。フランス革命はそうだったと言いますが、ここは日本だし…。
確かに、国民の命を守る力は、悪者が主権をとれば国民を殺す力にもなる、という理屈はその通りで、「よく良くする」必要はあるでしょう。けれども、安倍首相を独裁者、ヒトラーに譬えたり…人間としての良識を疑います。最後は、「革命しかない」なんて言っているから、この人、民主主義に反しているなあ、と思いました。暴力革命が本音の「怒り満ちた人」でした。残念…。
しかし、日本の多くの国民は、こんな護憲論には納得しないでしょうね。新聞では、内閣支持率が30パーセントとか、40パーセントとか言っているけれど、わずか2000人の色のついた人々のアンケートでしょ。6万人のネット調査では、内閣支持率は70パーセント以上です。もちろん、護憲派の人々の意見も汲み取りつつ、憲法を良くしてほしいけれど、憎しみや怒りの偏見はいかんなあ。
聖書では、イエスさまを十字架につけようとするパリサイ派・律法学者の運動と、イエスさまを守ろうとするペテロたちの対立があって、反イエス勢力は「十字架につけろ」と叫び続け、親イエス勢力は剣をもって戦おうとする…イエスさまは、親イエス勢力の剣を叱られたのです。反日勢力は強力で、感情的だけれど、感情で立ち向かってもダメ、ってことですね。「聖書の真実」「みことばの剣」を身に着けたいものです。
2017年8月8日火曜日
トランプさん、がんばれ
藤井厳喜さんの「日米対等」を読みました。以前、藤井さんの「地政学」の本を読んで、ランドパワーとシーパワーの違いなど、国際情勢を読み解く方法を教えられました。藤井さんは、トランプ大統領の誕生を当選前から予測していました。この点で、日本のメディアは間違っていました。
木村太郎もアメリカに行き、ヒラリーさんの集会に人が集まらず、トランプさんの集会が超満員であることを見て、メディアの報道が作為的であることを知ります。エスタブリュシュメントと呼ばれるエリートの金持ち層が、メディアを使って、トランプ叩きをしていたのです。
その構造は今も変わりません。アメリカの大多数の人々は、少数の金持ち層だけが利権を独占し、ほとんどのアメリカ人が貧困の中にいることを嘆いています。メディアは金持ちに牛耳られているので、ヒラリーをほめたたえ、トランプを叩きます。トランプも、「偽ニュース」に反撃します。
アメリカの大衆は、トランプ政権を8年間維持しようとするでしょう。しかし、クリントン財団の周りの人々のうち、50人近くが変死をしているというヒラリーの魔の手が、トランプを暗殺するかもしれません。あるいは、ヒラリーを操っている利権が、トランプの抹殺をはかるでしょう。
日本ではアベノミクスが、アメリカではトランプノミクスが、その経済を回復させています。日本は安倍総理が守り、アメリカはトランプ大統領が守っています。安倍さんほどクリーンな人はおらず、森友、加計問題をメディアがねつ造しても、何の罪も見出せませんでした。
メディアはただ「怪しい」と言って、大衆のイメージを「何となく嫌い」に持っていくだけです。メディアの背後には巨大な利権があって、安保法案で岸信介に恨みを持つ過激派が、メディアの中枢を握っているだけです。アメリカのメディアにも、アメリカの経済を動かす富裕層の利権があります。
トランプ政権は着実に基盤を固めていって、FBIのコビー長官など、幼児ポルノを野放しにして来たような腐った幹部を、より信頼のできる誠実な指導者と挿げ替えています。けれども、籠池氏を祭り上げた日本メディアのように、CNNなどはイメージ操作でトランプを下ろそうとします。
4千5百万円の大統領の年俸を、百円(1ドル)の年俸でいいと、トランプは大統領に就任しました。お金だけが目的のアメリカの政治家に対する挑戦でしょう。もちろん、給与はちゃんといただいているのです。年収百円です。お金にクリーンな大統領は、暗殺のターゲットになりやすい。
トランプが目指すのは、普通のサラリーマンが、まじめに働けば、自分の家を持ち、家族を育て、生活が守られて、幸せに死んでいく、「アメリカンドリーム」の実現です。アメリカの大衆を幸せにすることを、ポピュリズム(大衆迎合主義)と揶揄する人たちがいますが、いいえ民主政治です。
日本は、2004年になって、初めて「国民保護法」が生まれました。国民の生命を戦火から守るという法案で、それがなかったために、東京空襲では逃げ惑うだけで、10万人が死んだのです。今でも、自衛隊の規則には、「国を守る」とあっても「国民を守る」とは書かれていません。
アメリカの国民を守ろうとするトランプさんが、メディアの印象操作に打ち勝って、アメリカの民衆を助けてくれますように。日本の国民を守ろうとする安倍さんが、メディアの印象操作に打ち勝って、日本の若者たちを守ってくれますように。日本の老人はテレビ漬けなので、苦労しますが…。
2017年8月7日月曜日
ドストエフスキーの病
今日読んだのは、フロイトの「ドストエフスキーと父親殺し」です。
「カラマゾフの兄弟」で、父親殺しを描くドストエフスキーの病理を分析しています。ドストエフスキーの父親は軍医でしたが、退役後、小さな村の医者になります。けれども、村人は父親を憎み、殺してしまいます。窒息死で、他殺だとわかっていても、警察は調査しませんでした。村ごとシベリヤ送りになるし、ドストエフスキーの家族も、生活ができなくなるからです。
けれども、17歳だったドストエフスキーは、兵役先で父親死亡の知らせを聞き、その時から、癲癇の発作が始まります。 彼は、暴力的な父親を憎み、殺したいと願っていました。フロイトの言う、オディプス・コンプレックスです。けれども、自分が殺す前に、村人に殺されてしまいます。以後、父親への尊敬と、果しえなかった殺意とが、ドストエフスキーの中で葛藤を始めます。
発作が始まると、仮死状態になります。そのためにドストエフスキーは、「死んだように見えますが、五日間は埋葬しないでください」というメモ書きを、いつも置いていました。その後、無実の罪でシベリヤ送りになりますが、何も釈明せずに冤罪を受け入れたのは、殺したくても殺せなかったということが、彼の罪責感となって重くのしかかっていたからでした。
彼の精神の異常は、賭博への依存となって、その妻を悩ませます。また彼は、未成年女性を強姦したことも自白しています。まったく自分をコントロールできず、オディプス・コンプレックスの結果、母親を独占しようとする思いが、少女への暴行となってしまう…そのような異常な精神が、宗教性を帯びて、彼の小説となっています。「罪と罰」の罪観は、それと関係がありそうです。
ドストエフスキーは、日本でブームになり、どこの書店でも新書版が手に入れられるぐらい、ポピュラーなものとなりました。けれども、それを読んだ私は、聖書とは異なる「罪観」が描かれていて、精神異常を感じさせるものがありました。皆さんの中にも、ドストエフスキーを読んで、その宗教観に異常なものを感じた人がいるのではないでしょうか。
「聖書のみ」-それだけが、私たちに健全な、正しい罪観を教えてくれるものです。ドストエフスキーの病理を知るとともに、「聖書だけを信じる」思いも、強くなりました。ドストエフスキーを読んだからと言って、信仰がわかるわけではありません。どうぞ、聖書だけを信じてください。
あ、もちろん、「健康な者に医者はいりません」とイエスさまがおっしゃったように、病んでいる人にこそ、イエスさまは必要です。精神異常が悪いわけではありません。イエスさまのところに来てください。そのための病ではありませんか。
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