2017年7月13日木曜日
怪物・三木武夫
田中角栄ブームになっています。飴の政治家、金をばらまいた腐敗した政治家です。
なぜ、このような政治家が取り上げられ、角栄の再来が望まれるのか、理解に苦しみます。
妾の家に通うのに、一方通行の道路を、権力を使って逆走させたような人です。
日中国交正常化と言って、今の日中の危険な関係を招来した、災いの源です。
この田中角栄の政治生命を絶ったのは、怪物三木武夫でした。
この本は、決して三木武夫を絶賛する本ではなく、その悪い面を暴いた本です。
三角大福中(三木、角栄、大平、福田、中曽根)の時代は、政争の時代でした。
政策をめぐって争ったのではなく、政局をめぐって争った、縄張り争いの時代です。
そして、「策略家」であった三木には、まったく節操がなかった。
政敵に勝つためには、共産党とも手を結ぶ政治家でした。
それは、今の自民党の一部に残っている、悪しき体質でしょう。
三木の部下の松村は、「日中記者協定」を許可もなく結んでしまいます。
それ以来、中国は日本を誹謗中傷しても、日本は一切、中国を悪く言ってはならない、
そのような、今の体質が出来上がりました。全く日本の国益に反しています。
三木武夫は、田中角栄を、病気で立ち上がれないまでに追い詰めます。
しかも、クリーンな政治家という印象操作を、自らに施しながら。
中曽根を攻撃して、その報告をして来た代議士に、三木武夫は言います。
「政治家が個人攻撃はするな。政策で勝負するものだ。」「はい」
中曽根のもとに詫びようと帰る彼らに、もう一言、こう言います。
「詫びるなんて、政治がわかっていない。火を大きくして来い。」
あまりにえげつないやり方をするので、三木とは距離を置く政治家が多かった。
けれども、著者は、こう言っています。今は、これぐらい骨のある政治家がいない。
金権政治の権化であった田中を葬った、化け物が現れない時代です。
角栄は、日本の高度成長を失速させ、政界引退後には「闇の権力者」となります。
このような悪しき政治家を、懲らしめた「鞭の政治家」でした。
ほんとうは、日本の国益を守る「政策の政治家」が望まれるのです。
今の安倍政権も、政局を守り始めて、失速している感が否めません。
森友、加計といった些末なことで、足元を掬われるなんて、期待外れです。
もっと堂々と、日本の危機に対応してほしい、と国民は願っているはずです。
自己保身が見られるから、国民の支持率が低下しているのではありませんか。
「せめて三木武夫ぐらいの政治はやってくれ」
著者はそのように訴えます。それが、角栄ブームの要因なのでしょう。
安倍首相は、歴代の首相ではダントツ一位の優れた首相です。
マスコミに叩かれても負けないぐらい、強い姿が見たいと思っています。
そんなことを、読みながら思いました。
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